データ・アクイジション・システムの信号帯域幅を 10 倍に拡大するバッファ・アンプを発表
カスタム ASIC を不要としたフロント・エンド設計の簡素化により、試験 / 測定分野の設計期間を数か月短縮可能

日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は、業界で最も帯域幅が広い、高入力インピーダンス (Hi-Z) バッファ・アンプを発表しました。本製品は、最大 3GHz の周波数帯域をサポートできます。帯域幅がより広く、スルーレートの高い『BUF802』を採用すると、信号スループットを高め、入力のセトリング・タイムを最小化することができます。設計者はこのスループットの向上を活用し、オシロスコープ、アクティブ・プローブ、高周波データ・アクイジション・システムなどの試験 / 測定アプリケーションで、より周波数の高い信号をより高精度で測定することができます。製品の詳細に関しては、www.tij.co.jp/buf802-pr-jpをご覧ください。

『BUF802』で実現できる帯域幅は、従来は ASIC (特定用途向け集積回路) 使用時にのみ達成できていた値です。そのような ASIC は、システムの設計期間、複雑さ、コストの増加につながる要因です。設計者が TI のバッファを採用することで、ASIC が不要になり、製品をより早く市場に出荷できるとともに、広いダイナミック・レンジを数分の一のコストで実現できます。『DSO、レーダー、5G ワイヤレス・テスト・システム向けのフレキシブルな 3.2GSPS マルチチャネル AFE』リファレンス・デザインの活用で、すぐに設計を開始できます。

 

業界で最も広い帯域幅で ASIC レベルの性能を実現

ASIC ベースの実装に代わる従来の代替設計では、FET (電界効果トランジスタ)、保護ダイオード、トランジスタなど、十数個以上のディスクリート部品を必要としていました。このような FET 入力型のアンプをベースとするディスクリート実装を採用すると、設計の部品表 (BOM) コストの増加や、システムの複雑さの増大につながるうえ、ASIC と同等の帯域幅は達成できません。したがって、データ・アクイジション・アプリケーションの信号スループットが制限される結果になります。

『BUF802』は、各種ディスクリート部品の機能を統合すると同時に、FET 入力型アンプより 10 倍広い帯域幅を実現し、カスタム ASIC に匹敵する性能を達成します。その結果、ASIC ベースまたは FET 入力型アンプ・ベースの実装に代わるシングルチップの選択肢を提供できます。『BUF802』とディスクリート実装の違いについては、『Simplify analog front-ends with Hi-Z buffers』(英語) をご覧ください。

 

同じ BOM を使用して、フロント・エンドの設計を 100MHz から 3GHz まで拡張

フレキシブルな『BUF802』は、さまざまな帯域幅と信号スイングの要件に応じて静止電流を調整できる業界初のバッファであり、100MHz ~ 3GHz の範囲で 1V のピーク・ツー・ピーク (VPP)、最大 2GHz で 2VPPに対応します。帯域幅と信号スイングに関して、調整可能範囲がこのように広いことから、設計者はフロント・エンド設計を複数のデータ・アクイジション・アプリケーションに対して簡単にスケーリングし、システムのコスト削減や再利用に基づく再設計を容易に実現することができます。

 

複数の機能モードを内蔵することで設計の複雑さを軽減

複数の機能モードを内蔵しているため、『BUF802』はスタンドアローン・バッファとして使用することも、『OPA140』のような高精度アンプと組み合わせて複合ループ内で使用することも可能です。『BUF802』をスタンドアローン・バッファとして使用すると、100mV のオフセットに対応できるアプリケーションや、信号チェーンが AC 結合しているアプリケーションで、高い入力インピーダンスと高いスルーレートを実現しやすくなります。複合ループの場合は、オフセットの最大温度ドリフトを 1μV/℃ に抑える必要があるアプリケーションで、高い DC 精度と 3GHz の帯域幅を達成できます。

 

パッケージ、供給と価格について

BUF802』は、3mm x 3mm の 16 ピン VQFN パッケージで TI ウェブサイトから供給中です。1,000 個受注時の単価は 1.80 ドルから設定されています。『BUF802RGTEVM』評価モジュールは、25ドルで TI ウェブサイトから供給中です。TI ウェブサイトでは、日本円でのご購入が可能です。また、お支払いオプション、各国・地域への出荷について各種オプションをご用意しています。

※すべての登録商標および商標はそれぞれの所有者に帰属します。