業界最速の18ビットADCなど、高速と高精度のギャップを埋める 新しいSAR ADCファミリを発表
最大のダイナミック・レンジと最小のレイテンシで高速デジタル制御ループを実現しながら、 消費電力を最大65%削減可能

日本テキサス・インスツルメンツは、高速データ・コンバータのポートフォリオを拡張する製品として、産業用設計で高精度のデータ収集を実現する逐次比較型(SAR)アナログ/デジタル・コンバータ(ADC)の幅広い新ファミリを発表しました。最小の消費電力でクラス最高のダイナミック・レンジを実現する『ADC3660』ファミリには、14/16/18ビットの分解能と10~125MSPSのサンプリング速度を備えた8種類のSAR ADCが用意され、信号分解能の向上、バッテリ持続時間の延長、システム保護の強化に役立ちます。『ADC3660』ファミリの詳細については、www.tij.co.jp/ADC3660family-pr-jpをご覧ください。

 

高速データ収集の精度向上は、産業用システムでのリアルタイム制御ニーズの高まりに応えるものです。高速デジタル制御ループでは、ADCは複合的なシステムの中で機能し、電圧や電流の素早い変化に対処して、電源管理システムの重要な部品の損傷を防ぎ、コスト削減に貢献します。産業用システムでのデータ集中型タスクが増えるにつれて、システムが障害を防ぐために迅速な判断を行えるように、より高速でより精度の高い制御が求められるようになっています。

 

デジタル制御ループの応答高速化によって産業用システムを保護

 

『ADC3660』ファミリは、同等な速度の競合製品と比較してレイテンシを最大80%短縮します。例えば、125MSPS、14ビット、デュアル・チャネルの『ADC3664』を使用すると、システム設計者は1クロック(8ns)のADCレイテンシを実現できます。このファミリの超低レイテンシは、幅広い範囲の産業用システムで高速デジタル制御ループを実現し、電圧や電流のスパイクをより正確に監視して対処することで、半導体製造システムなどのアプリケーションでツール精度を向上させます。

 

最小の消費電力で業界をリードするノイズ性能を実現

 

これまで、産業用システムを設計するエンジニアは、優れたノイズ性能と低い消費電力のどちらかを選ぶ必要がありました。これは、高精度のデータ収集を必要とするバッテリ動作機器の設計では特に難しい決定です。『ADC3660』ファミリは、このトレードオフをなくします。例えば、65MSPSの業界最速18ビットADCである『ADC3683』は、ポータブル防衛無線などのナローバンド周波数アプリケーションのノイズ性能を向上させ、84.2dBの信号対雑音比(SNR)と-160dBFS/Hzのノイズ・スペクトル密度を実現しながら、チャネルあたりの消費電力を94mWに抑えます。消費電力が合計36mWで、10MSPS、14ビットの『ADC3541』は、熱管理を簡素化し、GPSレシーバやハンドヘルド電子機器などの電力の制約が厳しいアプリケーションでバッテリの持続時間を延長します。また、65MSPS、16ビットの『ADC3660』は、SNRが82dBFSで、同等な競合製品よりも消費電力が65%低く(チャネルあたり71mW)、ソナー・アプリケーションのイメージ分解能向上に貢献します。このファミリのノイズ性能が精度やイメージ分解能の向上にどのように役立つかの詳細については、ビデオ「産業用アプリケーションでの信号検出能力の向上」(英語)をご覧ください。

 

機能の統合と高いサンプリング周波数によって設計の複雑さを軽減

 

『ADC3660』ファミリはサンプリング速度が高く、各種の機能を統合しているため、設計者はシステム内の部品点数を減らすことができます。例えば、『ADC3683』は最も近い競合18ビット製品よりもサンプリングが4倍高速で、チャネル密度は2倍であり、オーバーサンプリングによって高調波を目的の信号から除去することができます。これにより、設計者はアンチエイリアス・フィルタの複雑性を軽減し、システムの部品点数を最大75%減らすことができます。

 

設計の複雑さを軽減する他の機能として、オンチップのデシメーション・オプションがあり、設計者はシステムから不要なノイズや高調波を簡単に除去し、SNRとスプリアスフリー・ダイナミック・レンジを最大15dB増強できます。これらのデシメーション・オプションとCMOS(相補型金属酸化膜半導体)インターフェイスにより、設計者はこれらのADCを、FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ)ではなくArm®ベースのプロセッサやデジタル信号プロセッサとともに使用することで、システム・コストを削減できます。

 

さらに、複雑な数値制御発振器とともにデジタル・ダウンコンバータが内蔵されているため、必要なプロセッサ・リソースが減少します。詳細については、アナログ・デザイン・ジャーナルの記事「高速ADCと内蔵デジタル・フィルタを使用してAFEのフィルタリングを簡素化する方法」(英語)をご覧ください。

 

パッケージ、供給と価格について

 

『ADC3563』、『ADC3583』、『ADC3643』、『ADC3660』、『ADC3663』、『ADC3664』、『ADC3683』は、5mm×5mmのWQFNパッケージで現在TIより供給中です。『ADC3541』の量産前バージョンは現在TIウェブサイトでのみ供給中で、量産品は2022年第1四半期に供給開始の見込みです。評価モジュールをTIから249ドルで供給中です。TIウェブサイトでは、お支払いと配送方法について各種オプションをご用意しています。

製品名

サンプル・レート

分解能

チャネル数

パッケージ

TIから今すぐ購入

価格(1,000個単位)

評価モジュール

ADC3541

10 MSPS

14ビット

1

WQFN(5mm×5mm)

ADC3541

14.50ドル

2021年第4 四半期予定

ADC3563

65 MSPS

16ビット

1

ADC3563

46.50ドル

ADC3663EVM

ADC3663

65 MSPS

16ビット

2

ADC3663

64.50ドル

ADC3583

65 MSPS

18ビット

1

ADC3583

71.50ドル

ADC3683EVM

ADC3683

65 MSPS

18ビット

2

ADC3683

99.50ドル

ADC3643

65 MSPS

14ビット

2

ADC3643

37.00ドル

ADC3643EVM

ADC3660

65 MSPS

16ビット

2

ADC3660

46.50ドル

ADC3660EVM

ADC3664

125 MSPS

14ビット

2

ADC3664

61.50ドル

ADC3664EVM

 

 
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