Q&A:今後数十年の成長を支える、TIの製造能力への投資について

TI の技術・製造グループを率いるKyle Flessner が、自社製造能力を拡大に向けた長期的なTI の計画について語ります

23 11月 2022

TI は、今後数十年にわたるエレクトロニクス市場での半導体の継続的な成長を支えるため、製造能力を拡大する多額の投資を行ってきました。

アナログと組み込みプロセッシングの各半導体デバイスで構成された多様な製品ラインアップを自社で製造できるよう、TI は現在、合計 6 つの新しい 300mm ウェハー・ファブを追加しているところです。

これらの新しいファブは、ウェハー工場やアセンブリ / テスト施設を含む、TI が世界各地に保有する自社製造オペレーションを拡大するもので、TI のお客様により確実な供給を提供していきます。

技術・製造グループを担当する上級副社長の Kyle Flessner は最近、TI の製造方針を説明しました。TI の技術・製造グループでは、シリコン製品、パッケージング、テストと技術開発に加え、世界各地の製造オペレーションと半導体品質管理を担っています。

Q:TIの長期的な製造と技術に関する 方針はどのようなものですか? また、TI のお客様にどのようなメリットがありますか?

Kyle Flessner:私たちの戦略で中核となるのは、社内製造能力を拡大するために投資を行うことです。TI は、外部のサプライヤのみに頼るのではなく、ウェハー・ファブやアセンブリ / テスト施設を自社保有しています。半導体の需要増加を支えるため、TI は自社製造能力を拡大しており、お客様からも、TI のこの拡張計画の進捗を満足頂いています。TI は、自社で最新かつ最大の 300mm ウェハー・ファブであるRFAB2が米国テキサス州リチャードソンで初期生産が開始され、また今年後半、これに続く 300mm ウェハー・ファブである LFAB が、2022 年下期に米国ユタ州リーハイでの生産できることをと嬉しく思っています。

自社製造能力に加えて、TI はプロセス、パッケージング、テストと技術開発部門も所有しています。これは、新しい製品設計を効率的に導入するための、当社の戦略のもう一つの重要な要素です。TI の技術グループは TI の営業部門や製造事業部門と緊密に協力して働き、アナログ製品や組込みプロセッシング製品に関して、設計プロセスの初期段階から、製品の差別化、製造しやすさ、最適な技術の採用、コスト効率を確実に具体化します。

Q:300mm ウェハーとはどんなものですか? なぜこのサイズが重要なのですか?

Kyle:直径 300mm(12 インチ)というサイズは、一般的なシリコン・ウェハーとしては最大かつ最先端の直径サイズです。ウェーハが大きければ大きいほど、より多くの半導体チップを生産することができます。1 枚の 300mm ウェハーから、最大で数百万個の半導体チップを切り出すことができます。より一般的に使用されている、またこれより小さい 200mm ウェハーに比べて、少なくとも 2.3 倍の数に達します。

私たちは、10年以上前から300mmウェハーの製造に戦略的な重点を置いてきました。300mmウェーハは、1枚あたりのチップ数が多いだけでなく、より高度な装置と、完全自動化された製造フローによって製造されます。その結果、歩留まり (製造した製品総数の中で正常な製品が占める比率) の改善、品質や効率の向上を達成できます。これらの成果は、コストの改善、および TI 製品の確実な供給につながります。1 枚のウェハーによい多くのチップを搭載することで、廃棄物を削減し、チップあたりの水やエネルギーの消費量を改善することもできます。

Q:TIのウェハー・ファブへの投資は、45ナノメートルから130ナノメートルのノードに集中しています。技術ノードとはどのようなものですか? また、これは 300mm の製造にどのように関係していますか?

Kyle:技術ノードは、製造テクノロジ、テクノロジ、プロセス・ルールなどとも呼びますが、ウェハーの上に存在する最小の配列サイズのことです。ノードのサイズを小さくするほど、部品の密度は高くなり、個別のダイ(チップサイズ)は小型化します。ただし、サイズは他の要因とのトレードオフになります。非常に微細なノードを設計しようとする場合、電圧レベル、消費電力、熱性能、精度などの非常に大きな課題を解決する必要があります。これらの課題は、コストの増加を招く可能性があり、極度の微細化は 必ずしも製品にメリットをもたらすとは限りません。

私たちは、効率よく、差別化を実現した製品を製造する革新的な技術を持っています。TI の最新の技術開発はいずれも、45ナノメートルから130ナノメートルのノードを使用して具体化しています。これらの技術は 300mm の製造効率を活用を意図して設計したものであり、アナログ製品および組込み製品で構成された TI の多様な製品ラインアップが必要とする最適なコスト、性能、消費電力、精度、電圧レベルを提供するために設計されたものです。

Q:お客様にとって、TI のサプライ・チェーン管理能力が重要な意味を持つのはなぜですか?

Kyle:TI は自社に製造施設を保有することで、市場環境に柔軟に対応し、供給量を拡大するなど、多様な市場環境の下において、柔軟にお客様をサポートすることができます。たとえば、必要な場合には TI は複数の工場 から製品を供給することもできます。また、TI は世界各地、特にお客様の製造拠点に近い場所に製品流通センターを保有しているので、この点でもお客様が必要とする製品を、必要な時、また必要な場所から、 TI が製品を確実に供給することができます。

Q:TI の製造拠点は、持続可能性を実現するために、どのような対策を実施していますか?

Kyle:TI は、持続可能で責任のある製造を実施できるように、長期的な取り組みを実施してきました。約10年前、私たちはテキサス州リチャードソンに、LEEDゴールド認定(Leadership in Energy and Environmental Design)を受けた世界初のグリーンな半導体製造施設、RFABを建設しました。この面積92エーカー (37ha)の敷地での工場建設にあたり、私たちが掲げた持続可能性の目標は、天然資源の消費、汚染物質の排出、一般的な環境や地域社会への影響を軽減することでした。この持続可能性に関する TI の取り組みにより、大気品質を改善し、エネルギーと水と製造原材料の使用量を低減することが可能となります。自社の製造事業を拡大に伴い、TI は引き続き、構造効率と持続可能性の観点から LEED Gold 基準を満たす施設新しい施設の設計に取り組んで参ります。

加えて、工場の装置や排出物低減技術のアップグレード、代替エネルギーの使用量の増加を通じて、エネルギーと温室効果ガスの排出を削減するための投資を行っています。また、TI は廃棄物や余剰物資の90%近くを再利用・リサイクルし、水の多くも再利用しています。

Q:最後に一言お聞かせください。

私は TI が進む将来に期待しています。TI は、優れた技術、高度な 300mm 製造能力、そして刺激的な企業文化を持っています。そしてこれからも、お客様に差別化した製品を提供していきます。自社生産と技術開発は、今後何十年にもわたって半導体の需要増に迅速に対応し支えることができる、当社ならではの強みです。