TI のミリ波採用でより安全な世界を実現:これはほんの始まりにすぎません

Dan は、ミリ波レーダーアプリケーションの先駆者であり、将来のセンシング技術に関するビジョンを持っています

08 1月 2022

TIのイノベーターがアルゴリズムを開発し、TI のミリ波 (mmWave) レーダーを活用した新しいアプリケーションが開発されると、自動車、工場 、スマートホームまでの多様な状況で、手頃な価格のセンサ技術が実装され、より安全な世界が実現されるようになります。レーダーと CMOS で構成されたこの技術の手頃な価格の詳細については、TI の ブログ記事『「ビジョンを可能に」世界初のオンチップ・ミリ波レーダー・システムのインサイド・ストーリー パート1』をご覧ください。

大学院を修了した後、DanはTI のイノベーターで構成されたチームと一緒に働きました。そのチームはのちに世界を驚かすことになります。

このチームは、CMOS (complementary metal–oxide–semiconductor:相補型金属酸化物半導体) アナログ設計を使用して、初のシングルチップミリ波レーダーシステムを開発するという困難な課題に挑戦しました。その結果、従来はコストが高かったレーダー機能が、手頃な価格の技術へと進化し、20,000 ドルの自動車でも容易に採用できるようになりました。

当時、世界のどの組織もこのようなシステムをまだ構築していませんでした。Dan とそのチームは、自動車がより高い水準の安全性を実現するうえで、この技術がどのように役立つのかを大手自動車メーカーに証明する準備を進めていました。レーダー技術をコインに近いサイズまで小型化することに成功したほか、自動車が路上のさまざまな状況を認識し、衝突を防止できる精度も達成できました。

「これは飛躍的な進歩であり、非常に革新的な技術です」と、Dan は語ります。「CMOS 技術を採用した結果、レーダーセンサの統合レベルを大幅に引き上げ、コストを劇的に下げることができました。最初の自動車の周囲に8 個のテスト用小型センサを取り付け、3Dで360 度の視野で周囲の環境がストリーミングされるのを目にしたときの興奮を今でも覚えています」

彼女は現在もエンジニアにテクノロジーの新しい可能性を示し、次の夢を描く手助けをしています。Danはカスケード接続のミリ波センサの先駆者です。この手法を使用することで、自動車ははるか前方にある物体を非常に明確に検出することができます。彼女は現在も新しいミリ波レーダのアプリケーションに適したアルゴリズムの開発に取り組んでいます。

「私は、ミリ波は非常に大きな潜在能力を秘めていると考えています。工場、ビル、ホームといった毎日の生活における安全性の向上にも応用できると思います。」と、彼女は語ります。「これはほんの始まりにすぎません」

車内外での安全性

Dan の仕事は、お客様のために論理的に考え、アルゴリズムを構築することです。

そのアルゴリズムは、エンジニアが TI の技術を最大限活用する方法を理解するのに役立つほか、エンジニアからのフィードバックを活用して次世代のデバイスを定義することもできます。TI のカスケード接続レーダーは、同期型のデバイスを複数組み合わせて単一のユニットとして動作し、データの処理を進めることができます。このレーダーを使用すると 300 メートル以上離れた前方にいる他の自動車を検出したり、互いに非常に接近した場所を走行している 2 台の自動車を区別したり、適切な行動を促すアラートをドライバーに警告することができます。

ミリ波レーダーは現在もなお比較的新しい技術なので、Dan にとって毎日は新しいことの連続です。彼女のチームは、車内外の安全性の向上に役立つ新しいアプリケーションのアルゴリズムを継続的に開発しています。

「当初、先進運転支援システム( ADAS ) 向けのアプリケーションにある潜在能力は非常に明確でした。その後、検討に値する多くのアプリケーションが存在することが明らかになりました」と、彼女は語ります。「TIは、産業用活用と車内センシングの両方に注目してきました。その結果、ミリ波センサの持つ大きな潜在能力の展望が開けてきました」

ミリ波センサを活用すると、後部座席に子供がいることを親に知らせたり、同乗者にシートベルトの着用を求めたり、ドライバーの運転に対する集中度やバイタルサインを監視したり、ドライバーが手のジェスチャで指示をするだけで、その指示を検出して自動車の各種システムを操作できるようにしたりでき、車内での安全性が向上します。

同様の機能を使用して家庭内の安全性を向上させることもできます。このような機能は、高齢者が転倒した際に家族に知らせるなど、家庭内の安全性を向上させたり、工場内でロボットが人間と協調して安全に作業できるようにするためにも利用できます。これらの機能は新しく登場したものであり、今もなお進化を続けています。Dan によると、次のトレンドは、小型化とスマート化を進めた先進的センサを活用して機械学習を行い、物体や情報をより的確に分類することです。

「今後のレーダーおよびその潜在能力に関する私たちのビジョンは、より多くの市場に展開し、それらの市場で手ごろな価格の高性能のセンサが活用できるようにすることです」と、彼女は語ります。「今から 20 年後には、レーダーは主なセンサになり、あらゆる場所で目にするようになるはずです」

より良い世界を築き上げるための熱意

TIは、半導体を通じてエレクトロニクス製品を手頃な価格で購入できるようようにし、より良い世界を実現するよう取り組んでいます。車内、工場、家庭などで、TI のミリ波センサを活用できる新しいアプリケーションを見つけることは、そのTIの熱意を表す 1 つの例です。TI は長年にわたる製品世代の改良と革新を通じて、エレクトロニクスの小型化、効率化、信頼性の向上、低コスト化を実現してきました。TI はこれらのイノベーションを、エンジニアリングの進歩と捉えています。それが数十年にわたり TI が行ってきたことです。