TI、ワイヤレス・マイコン向けMatter プロトコル対応ソフトウェアを発表、分断した IoT エコシステムを統合
Wi-Fi® および Thread ネットワーク上のスマート・ホーム・エコシステムにつながる各種ブランドのデバイスを高信頼かつセキュアに接続が可能

テキサス・インスツルメンツ (TI)は生活の身の回りでよりスマートな接続を実現する、Matter 対応のソフトウェア開発キット(SDK)を発表しました。この SDK はWi-FiThreadを使用する SimpleLink™ ワイヤレス・マイコン(MCU)向けで、IoT(モノのインターネット)アプリケーションにおけるMatter プロトコルの採用を効率化します。

このソフトウェアは、Connectivity Standards Alliance(CSA)への TI の密接な連携と、TI が 2.4GHz コネクティビティ分野で実現してきたイノベーションに基づいて構築されています。

この新しいソフトウェアと『CC3235SF』や『CC2652R7』のようなワイヤレス・マイコンを使用することで、エンジニアは超低消費電力、セキュア、かつバッテリ動作のスマート・ホーム・アプリケーションと産業用 IoT アプリケーションを製作し、多様な独自エコシステムにおいてさまざまなデバイスに接続することが可能となります。ホーム・オートメーションやビル・オートメーションにおけるコネクテッド・デバイス(ネットワーク接続されたモノ)を活用して、接続をよりシンプルに、より安全に、スケーラブルにする方法の詳細は、https://www.ti.com/ja-jp/wireless-connectivity/matter.htmlをご覧ください。

CSA(Connectivity Standards Alliance)の技術責任者を務める Chris LaPre 氏は次のように述べています。「Matter 協議会のメンバーたちは、Matter の新機能構築と、エコシステムに対するイノベーションの推進を進めています。このイノベーションとは、Wi-Fi と Thread を基盤とし、マイコンと IoT アプリケーションに関する効率的なアプローチを実現することです。IoT アプリケーションに適した TI の新しい各種ワイヤレス・マイコンは、相互運用性のある Matter デバイスをエンジニアがシームレスかつセキュアな方法で接続するのに貢献します」

TI は、2022 年 11 月 15 日~ 18 日にドイツのミュンヘンで開催される electronicaにて、家庭での EV(電気自動車)充電管理のさらなるスマート化を実現するための、Matter プロトコルに関するデモを実施しました。詳細については、https://www.ti.com/about-ti/trade-shows-conferences/electronica.html(英語)をご覧ください。

Grundfos Holding A/S のシニア・バイス・プレジデント兼技術グループ責任者を務める Anders Johanson 氏は次のように述べています。「当社は、高度なポンプ・ソリューションと水関連技術のグローバル・リーダーであり、HVAC(エアコン)分野で Matter を推進するアライアンスの一員として行動できることをうれしく思います。私たち Grundfos は、イノベーションと持続可能性に関する目標を達成するうえで、協力が鍵になると強く確信しています。当社は TI との協力を通じて、Matter 対応の低消費電力ワイヤレス・ソリューションを市場に送り出します。当社のエンド・ユーザーの快適さ向上や、HVAC システムのエネルギー消費量低減、そして二酸化炭素排出量の削減を実現するうえで、この協力は重要な役割を果たします」

 

Matter プロトコルとは

 

Matter は、ロイヤリティ・フリーのコネクティビティ・プロトコルであり、以前は ZigBee Alliance と呼ばれていた業界団体が策定しています。Matter は、Thread と Wi-Fi の各ネットワーク・レイヤ上で動作し、Bluetooth® Low Energy を使用してコミッショニングを行います。その結果、さまざまなエコシステムに属している多様なデバイスが、たとえ異なるブランドで製造されている場合でも、互いに通信することができます。TI は、実証済みの技術をベースにした統合アプリケーション層を提供しています。メーカー各社はこのオープン・ソース・プロトコルを活用することで、IoT 開発を迅速化できます。

TI はこの業界団体の主要メンバーであり、Matter 開発にも参加しています。そのため、エンジニアは TI 製品を採用することで、より幅広く、相互接続能力をいっそう強化した IoT エコシステムを製作しやすくなります。また、他の細分化されたエコシステムが原因で発生している互換性の課題にも対処できます。TI はこの業界団体に協力しているほか、Thread Group の貢献会社、および Wi-Fi Alliance の主要貢献会社でもあります。

 

Matter 対応 SimpleLink ワイヤレス・マイコンの採用で、システムの効率とセキュリティを向上

 

TI の新しい SimpleLink ワイヤレス・マイコンの採用で、競合デバイスと比べて、エンジニアは Thread アプリケーションでスタンバイ消費電力を最大 70% 削減できます。その結果、5 秒間隔のポーリングを使用する場合、バッテリ動作期間を最大 4 年に延長することができます。長距離コネクティビティ・アプリケーションの場合、これらの各種マイコンが内蔵している高効率パワー・アンプは、101mA の消費電流で +20dBm の出力を実現し、信頼性の高いコネクティビティを可能にします。これは業界最小クラスの消費電力で、出力電力がより大きい場合でもバッテリの消費電力をいっそう低減するのに役立ちます。

Matter 対応の Wi-Fi アプリケーションに取り組むエンジニアは、TI のデュアル・バンド、多層セキュリティ・アプローチを活用することで、外部部品を追加せずに、デバイスのデータを保護し、サイバー分野の脅威に対処することができます。

 

ソフトウェアとハードウェアの各種リソースと組み合わせて Matter を活用

 

TI E2E™ Wireless Connectivity design support forums(英語)にて、Matter対応アプリケーションの設計を効率化するためにTI の各種アプリケーション・エンジニアの情報を参照することができます。TI の各種ワイヤレス・マイコンを活用して Matter コネクティビティを効率化する方法についての詳細は、トレーニング・ビデオ『TI Matter Technology Demo: Unified Standard for Connected Objects』(英語)をご視聴ください。『CC2652R7』(Thread 対応)と 『CC3235SF』(Wi-Fi 対応)の開発を開始するための、FAQガイド(英語)もTI E2E™ 設計サポート・フォーラムで参照可能です。

 

パッケージ、供給と価格について

 

エンジニアは、Thread 対応の『LP-CC2652R7』(39.99 ドル)およびWi-Fi 対応の『LP-CC3235SF』(54.99 ドル)用のLaunchPad™ 開発キットを注文することで、すぐにプロトタイプ製作を始めることができます。『CC2652R7』と『CC3235SF』 は現在、TI と正規販売特約店から供給中で、1,000 個ご注文時の単価は、『CC2652R7』 が 3.01 ドルから、『CC3235SF』 が 4.53 ドルから設定されています。

 

実際の設計ニーズに適した、フレキシブルでテスト済みの各種コネクティビティ・ソリューション

 

TI の幅広いコネクティビティ製品を参照することで、エンジニアは開発中のアプリケーションに最適な機能セットを選択できます。有線とワイヤレス、高帯域幅と信号伝送、短距離と長距離、その他の各種オプションが選択可能で、コネクテッド(ネットワーク接続型)アプリケーションにおけるイノベーションの推進に貢献します。

 

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