EVのバッテリ管理を大きく変える、業界最高性能のワイヤレスBMSソリューションを発表
ASIL Dシステムの実現性について初めてTÜV SÜDの評価を取得した機能安全性コンセプトと先進的な製品ポートフォリオにより、信頼性と効率の高い電気自動車の開発を支援

日本テキサス・インスツルメンツは、電気自動車(EV)のバッテリ管理システム(BMS)を大きく発展させる、業界最高レベルの性能を誇るワイヤレスBMSソリューションを発表しました。このソリューションは、中立的な評価を取得した初の機能安全性コンセプトを特色としています。業界最高レベルのネットワーク可用性を提供する先進的ワイヤレス・プロトコルによって、高コストで重く、修理や整備の必要性もある配線を自動車設計から省くことが可能になります。TIのワイヤレスBMSソリューションにより、世界中のEVの信頼性と効率を高められることが実証されます。

ワイヤレスBMS向けのTIのソリューションを通して、EV設計の複雑さを軽減し、信頼性を向上させ、車体重量を軽くすることで走行距離を伸ばせるよう、自動車メーカーを支援します。TIでは、SimpleLinkTM 2.4GHzワイヤレス・マイコン『CC2662R-Q1』の評価モジュールやソフトウェアといった包括的なワイヤレスBMS製品とともに、安全性マニュアル、FMEA(故障モードとその影響の解析)、FMEDA(診断分析)、TÜV SÜD(テュフズード)のコンセプト・レポートなどの機能安全性イネーブラーをご用意しています。これらを活用することで異なる製品モデルにも柔軟に設計を対応させることができるので、製品化をより速く進めることができます。詳しくは技術記事「ワイヤを削減し走行距離を延ばす将来の電気自動車」(英語)をご覧ください。

Strategy Analytics社でパワートレイン、ボディ、シャーシ、安全性サービス分野のディレクターを務めるAsif Anwar氏は次のように述べています。「EV市場では、ワイヤレス・バッテリ管理システムを搭載する傾向がますます高まると考えています。このような先進技術により、従来のシステムと比べて設計の柔軟性が向上するだけでなく、複雑さやコストが削減されるからです。優位性とASIL D準拠とが組み合わさったソリューションを実証することでTIのソリューションが打ち立てた指標に、業界も追従するでしょう」

 

ISO 26262 ASIL Dに準拠

自動車メーカーの開発期間の短縮を目的として、TIのワイヤレスBMSの機能安全性コンセプトを使用し、定量的および質的なエラー検知性能についてと、実際に自動車メーカーがASIL D(ISO 26262で規定された安全性要求レベルの最高水準)を達成可能かどうかについて、業界トップの機能安全性認証機関であるTÜV SÜD(テュフズード)に中立的な立場での評価を依頼しました。

新しいワイヤレス・プロトコルを使用し、ワイヤレスBMSのユースケースに特化して作られたTIのワイヤレスBMS機能安全性コンセプトは、通信エラーの検知とセキュリティに対処します。ワイヤレス・マイコン『CC2662R-Q1』によるTI独自のプロトコルを使用することで、ホスト・システム・プロセッサと、このほど発表されたバッテリ・モニタおよびバランサ『BQ79616-Q1』との間のデータ通信が、堅牢でスケーラブルなものになります。  

 

業界最高レベルのネットワーク可用性をセキュアに実現

ワイヤレス・マイコン『CC2662R-Q1』によるBMS向けTIワイヤレス・プロトコルは、有線接続とも互角な性能であり、ネットワーク可用性が99.999%超と業界最高レベル、ネットワーク再起動時間が300msと最大限利用可能です。このワイヤレス・マイコンを用いた場合、高スループットと低レイテンシを実現する専用のタイム・スロットによりデータのロスや破損を防ぎ、±2mVの精度と10-7未満のネットワーク・パケット・エラー率で、複数のバッテリ・セルの電圧および温度データをメインのマイコンに送信できます。キーの受け渡しや更新の仕組み、固有デバイス認証、デバッグ・セキュリティ、JTAG(Joint Test Action Group)ロックによるソフトウェアIP保護、AES(Advanced Encryption Standard)128ビット暗号アクセラレータ、メッセージ整合性のチェックなど、TIが提供するセキュリティ・イネーブラーにより、自動車メーカーは潜在的な脅威を軽減することができます。

 

信頼性のあるシステム・レベルの設計を複数のプラットフォームに拡張

自動車メーカーの長期的な設計ニーズを予想して、TIのワイヤレスBMSの技術革新は、業界随一のスケーラビリティを備えています。決定性プロトコルによりマーケット最高レベルのスループットが得られるため、1個のワイヤレス・システムオンチップを使って多数の『BQ79616-Q1』バッテリ・モニタと通信することで、32セル、48セル、60セルといった様々な構成のシステムに対応したバッテリ・モジュールを構築できます。最大100ノードに対応するこのシステムは、レイテンシが1ノードにつき2ms未満と業界で最も低いレベルであり、すべてのノードで時間同期させた測定を行えます。ワイヤレス・マイコン『CC2662R-Q1』を使用することで個々のセル・モニタリング・ユニットが絶縁されるので、デイジーチェーン通信の絶縁部品が不要になり、コストの削減になります。バッテリ・モニタおよびバランサ『BQ79616-Q1』は、同じパッケージ・タイプで異なるチャネルのオプションを用意することで、ピン互換性を備え、どのプラットフォームでも既成のソフトウェアとハードウェアを100%再利用できるようになります。 

 

パッケージ、供給と価格について

SimpleLinkワイヤレスBMSソフトウェア開発キット(SDK)を追加費用なしでダウンロードし、TIウェブサイトより999ドルで供給中のSimpleLinkワイヤレスBMS評価モジュール(CC2662RQ1-EVM-WBMS)をご購入いただければ、ただちに設計に取り掛かることができます。ワイヤレス・マイコン『CC2662R-Q1』の1,000個注文時の単価は2.79ドルです。16チャネルの『BQ79616-Q1』は、10mm×10mm、64ピンHTQFP(熱特性強化型薄型クワッド・フラット・パッケージ)で供給され、1,000個注文時の単価は6.90ドルです。ワイヤレスBMSソリューションで使用される製品はすべて、TIウェブサイトから今すぐ購入可能です。

 

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