マイコンの変更なしでCAN FDを追加できる新しい車載SBCにより、車内ネットワークの設計を簡素化し開発期間を短縮

 

SCJ-19-009 

2019年6月12日

 日本テキサス・インスツルメンツは、業界で初めてCAN FD(Controller Area Network with Flexible Data Rate)用コントローラおよびトランシーバを内蔵した車載向けシステム・ベーシス・チップを発表しました。車内ネットワークに求められる広帯域幅とデータ・レートの柔軟性を満たすよう設計された『TCAN4550-Q1』は、ほとんどのマイコンが備えるSPI(Serial Peripheral Interface)バスを利用することで、ハードウェアの変更を最小限に抑えながらCAN FDインターフェイスを実装できます。また、システムのCAN FDバス・ポート数を増やすこともできます。

 従来、CAN FDへのアップグレードまたはCAN FD機能の拡張を行うには、設計に複数のディスクリート部品を含めるか、マイコンを完全に変更する必要があり、時間とコストのかかるプロセスとなっていました。『TCAN4550-Q1』システム・ベーシス・チップ(SBC)を使用すれば、既存のマイコン・ベースのアーキテクチャを保持しながら、ボディ・エレクトロニクスやライティング、先進運転支援システム(ADAS)、車載ゲートウェイなどの設計でCAN FDのアップグレードや拡張を効率化できます。製品の詳細については、こちらをご覧ください。

 

CAN FDとは

 CAN FD通信プロトコルは、Classical CANとして知られている従来のCANバス標準に基づきながら、車内ネットワークにおけるデータ・レートの多様化と高速化に対応し、車載マイコンおよび接続されたシステムが効果的に通信を行えるよう策定されたものです。最大5Mbpsのデータ・レートと最大64バイトのペイロードをサポートするCAN FDプロトコルにより、次世代の車載アプリケーション向けに、より高速なデータ転送を実現できます。

 

TCAN4550-Q1』の主な特長と利点

  • 部品表(BOM)とシステム・コストの削減:『TCAN4550-Q1』は±58VDCのバス障害保護、ウォッチドッグ・タイマ、フェイルセーフ・モードなど多数の機能を内蔵し、Classical CANプロトコルとも相互に互換性があるため、設計の簡素化が可能
  • 車載設計でのバス拡張が容易:『TCAN4550-Q1』を使用すれば、バス拡張の際に通常必要となるシステムの再設計が不要で、マイコンのCAN FDポート数が限られている場合でも、既存のSPIポートを介して車載システムのCAN FDバスを増備することが可能
  • 電源設計基板の削減:『TCAN4550-Q1』は125mAの低ドロップアウト(LDO)リニア・レギュレータを内蔵し、自己の電源を確保しながら外部の電力センサや追加部品用に70mA出力を供給できるため、外部の電源部品の必要性を減らし、電源設計基板を削減
  • 消費電力の削減:ウェイク機能やインヒビット機能により、スタンバイ・モード時のシステム消費電力を削減
  • 最大データ・レートの向上:CAN FDプロトコルの最大データ・レートである5Mbpsを超える8Mbpsの最大データ・レートにより、車両組み立て時の車載ソフトウェアのプログラミングを高速化

 

システム性能を向上しながらスペースを節約

 この新しいデバイスは、CAN FD、CAN、およびLIN(Local Interconnect Network)のトランシーバや電源部品をシングルチップ・ソリューションに統合したTIのSBCポートフォリオ製品の1つであり、他にも『TCAN4550-Q1』『TLIN1441-Q1』などが含まれます。内蔵部品の少ない競合デバイスと比較して、これらのデバイスはより高度に統合されているため、設計者はBOMを削減し、システムの性能を高め、設計の開発期間を短縮することができます。また、TIのSBCをTI C2000TMマイコンと組み合わせることで、システム全体の機能を向上させながら、使用可能なバス・ポートの数をすばやく簡単に拡張できます。

 

製品設計の迅速化に役立つ評価ツールとサポート

 

パッケージ、供給と価格について

 『TCAN4550-Q1』はTI storeと販売特約店から供給中です。『TCAN4550-Q1』は4.5mm×3.5mmの超薄型QFN(Quad Flat No-lead)パッケージで供給され、1,000個受注時の単価は1.79ドルです。

 

TIの『TCAN4550-Q1』に関する情報

 

※C2000とTI E2EはTexas Instrumentsの商標です。すべての登録商標および商標はそれぞれの所有者に帰属します。