EVの航続距離最大化を支援するSiC ゲート・ドライバを発表
より安全で効率的なトラクション・インバータの設計で、EV の航続距離を年間最大 1,600km(1,000 マイル)向上させることが可能に

テキサス・インスツルメンツ (TI)  は本日、高電圧技術のリーダーとして、機能安全準拠の高集積、絶縁型ゲート・ドライバを発表しました。このゲート・ドライバを採用することにより、エンジニアはより効率的なトラクション・インバータを設計し、電気自動車 (EV) の航続距離を最大化することが可能となります。新しい強化絶縁型ゲート・ドライバ『UCC5880-Q1』に搭載される機能を活用し、EV パワートレインのエンジニアは電力密度の向上、システム設計の複雑さやコストの低減と同時に、安全性や性能に関する目標を達成することができます。詳細については、TI.com/UCC5880-Q1 をご覧ください。

EV の普及が加速する中、トラクション・インバータ・システムにおける半導体の技術革新は、さらなる普及に向けた障壁を克服するのに役立っています。『UCC5880-Q1』は、リアルタイム可変ゲート・ドライブ能力、シリアル・ペリフェラル・インターフェイス (SPI)、SiC の高度なモニタリングと保護、また、機能安全のための診断機能を備えており、自動車メーカー各社は、シリコン・カーバイド (SiC) および絶縁型ゲート・バイポーラ・トランジスタ (IGBT) をベースとするトラクション・インバータをより高い安全性、効率性、信頼性において設計することができます。

TI で高電力ドライバの製品ライン・マネージャを務める Wenjia Liu は次のように語ります。「トラクション・インバータのような高電圧アプリケーションに携わるエンジニアは、小さなスペースでシステム効率と信頼性を最適化するという、ユニークな課題に直面しています。この新しい絶縁型ゲート・ドライバは、エンジニアが航続距離を最大化させるのに役立つだけでなく、安全機能を統合して外部部品点数や設計の複雑さを低減することができます。また、『UCC14141-Q1』絶縁型バイアス電源モジュールのような他の高電圧電力変換製品とも容易に組み合わせることができ、エンジニアは、電力密度を向上させ、トラクション・インバータの性能を最高水準にまで高めることができます」

 

設計の煩雑さやコスト低減しながら、EV の航続距離最大化

効率の向上は、充電 1 回あたりの動作範囲の改善に直接影響を及ぼすため、EV の信頼性と電力性能向上に対するニーズは継続的に高まっています。一方、大半のトラクション・インバータはすでに 90% 以上の効率で動作しているため、さらなる効率向上はエンジニアにとって難易度の高い課題です。

ゲート・ドライバ 『UCC5880-Q1』は、ゲート・ドライブ能力を 20A ~ 5A の単位でリアルタイムに可変にすることにより、エンジニアは SiC のスイッチング電力損失を最小限に抑え、システム効率を最大 2% 向上させることができます。その結果、1 回のバッテリ充電あたりの EV 航続距離を最大 11.2 km(7 マイル)延長することができます。これは、1 週間に 3 回充電するEV 所有者の場合、年間で航続距離を最大1,600 km(1,000 マイル)延長できる計算になります。詳細については、技術記事『リアルタイムで可変のゲート・ドライブ能力を活用して SiC トラクション・インバータの効率を最大化する方法(英語)』をご覧ください。

さらに、『UCC5880-Q1』は SPI を使用したプログラミング機能や、監視と保護の各機能を内蔵しているため、設計の複雑さを軽減し、外部部品コストも削減します。エンジニアは SiC をベースとする EV トラクション・インバータのリファレンス・デザインの活用により、部品点数を削減し、より効率的なトラクション・インバータ・システムのプロトタイプを迅速に製作することができます。このカスタマイズ可能なテスト済みリファレンス・デザインには、『UCC5880-Q1』、バイアス供給パワー・モジュール、複数のリアルタイム制御マイコン、高精度センシング機能が含まれます。

 

パッケージ、供給と価格について

車載グレード、ISO26262 準拠の 『UCC5880-Q1』は、10.5mm x 7.5mm の 32 ピン縮小スモール・アウトライン・パッケージ (SSOP) に封止した量産開始前の数量が現在、TI.com でのみ入手可能です。1,000 個ご注文時の単価 (参考価格) は 5.90 米ドルからです。設計者は新しい UCC5880-Q1 評価基板を 249 米ドルで購入できます。TI.comでは、日本円でのご購入が可能です。また、お支払いオプション、各国・地域への出荷について各種オプションを用意しています。

 

※すべての登録商標および商標はそれぞれの所有者に帰属します。